MMS (Master of Management Studies) in Systemic Risk

 MMS in Systemic Riskとは、2017年に新しくYale SOMに設置された1年制のプログラムです(MBAとは別の修士課程で、プログラムの規模は例年10名程度)。

 

 中央銀行・金融規制当局の職員が主な対象で、金融政策、金融規制、マクロプルーデンス政策、金融危機対応などFinancial Stabilityに関連する内容に特化したプログラムです。

 

 本プログラムの責任者の一人であるMetrick教授曰く、「MMS-SRは、卒業生が卒業後すぐにIMFやBISでも活躍できるようになるプログラムを目指している。」「世界中の中央銀行職員のネットワーク拠点をYale SOMに築きたい」とのこと。

 

 また、MMS-SR向けに開講されている金融市場に関連する幅広い講義はMBA生も履修可能で、ガイトナー元財務長官とSOMのMetrick教授が教える、”The Global Financial Crisis”等はMBAでも人気の授業となっています。MMS-SR向けの講義の存在により、SOMでは金融市場に関する幅広いコースが提供されています。

 

 必修科目は以下の9科目で、これに加えて1-2科目(4 credits分)を選択科目としてYale SOMまたは他学部・大学院が提供する統計学や経済学等の授業から履修します。カリキュラムの詳細に関する最新情報はこちらの公式HPを参照ください。また、各授業の内容についてはYale SOMの授業情報ページから確認できます("elective"という項目)。

 

・Systemic-Risk Colloquium (4 credits, Year Long) (English and Metrick)

・Macroprudential Policy (4 credits, Fall) (BenediktsdottirFeldberg and McConnell)

・The Global Financial Crisis (4 credits, Fall) (Metrick and Geithner)

・Central Banking (4 credits, Fall) (English

 

・Financial Stability Regulation (4 credits, Spring) (McNamara and Rhee

・Monetary Policy (4 credits, Spring) (English

・Macroprudential Policy II(4 credits, Spring) (Feldberg and McConnell

Financial Crises: Policy Response (4 credits, Spring) (Metrick

Introduction to Financial Crisis Communication(2 credits, Spring) (Wiggins) 

 

 Yale  SOMは金融危機関連のプログラムに非常に力を入れており、金融システムの安定性に関するカンファレンスを毎年開催したり、各国中央銀行職員(総裁を含む)をSOMに招いたり、ブルッキングス研究所と協力して過去の金融危機に対する対応のケーススタディを整理したりと、様々な取り組みが行われています。金融政策・金融規制・金融危機対応の領域に特化してこれだけの取り組みをしている学校はあまりありません。 これらの取り組みについては、Yale Program on Financial Stabilityのページを参照ください。これまでも、バーナンキ元FRB議長、イエレン元FRB議長、キング元BOE総裁、タッカー元BOE副総裁、白川元日銀総裁などが来訪して講演を行っています。

FAQ

最新の情報については、公式Webサイトや大学への問い合わせを通じて確認してください。

 

1. MMS-SRの講義はMBA生でも履修可能?

可能です。特にGlobal Financial CrisisやCentral BankingはMBA生の履修者も多いです。授業はすべてSOMのメイン校舎にて開講されています。なお、Colloquiumのみ、MMS-SRの学生限定となっています。

 

2. MMS-SRに所属する学生の出身国のバランスは?

構成は毎年変わりますが、様々な国の学生が参加しています。

Class 2024は10名で、米国(1)、メキシコ(1)、中国(1)、日本(2)、インド(1)、韓国(1)、マレーシア(1)、パキスタン(1)、ミャンマー(1)でした。

 

3. MBAとのJoint Degreeは可能?

可能です。両方のプログラムについてそれぞれ合格する必要がありますが、1年目にMBAの必修科目を終わらせ、2年目にMMS-SRのカリキュラムを履修することで、2年間で両方の学位を取得することができます。Class 2024では10名中3名が元々MBAとして入学していた学生で、Joint Degreeの取得を目指しています。

 

4. 学生のバックグラウンドは?

MBAとのJoint Degreeの学生を除き、大半の学生が自国の中央銀行から派遣されています。入学前の職務経歴は数年~10年程度と人によって幅があります(入学するにあたって、職歴の長短はあまり重視されていないかと思います)。金融規制・プルーデンス政策の実務に関わっていた経験のある学生が多いです。

 

5. 就職活動のサポートはある?

ありません。原則として自国の中央銀行・規制当局から派遣された学生を対象としており、元々所属していた機関へ戻ることを前提としているため、MMS-SRの学生がMBA向けの就職支援を受けることはできません(MBAとのJoint Degreeの場合を除く)。カリキュラムも就職活動を行わない前提で設計されているため、就職活動との両立は不可能ではないものの難しいです。

 

6. MMSプログラムの利点は?

金融規制、金融政策などのシステミックリスク・中央銀行関連政策に特化しており、関連分野の知識を短期間で深めることができます(プログラム名がシステミックリスクとなっていますが、プルーデンス政策・金融規制だけでなく、金融政策も含めて、中央銀行・金融規制当局としての政策ツールは偏りなくカバーされている印象です)。特に、2008年の国際金融危機に焦点を当てており、伝統的な経済学の教科書ではカバーされていないような最新の潮流を学ぶことができます。また、少人数プログラムのため教授との距離も近く、学生もある程度共通のバックグラウンドを有しており、1年を通じて授業内外で多くのディスカッションの機会もあります。さらに、MMS-SRの授業やSOMのイベントでは金融システムに関連する様々なゲストスピーカーから話を聞くことができます。 

 

7. プログラムについてもっと知りたいが、どうすればよいか?

SOM公式WebサイトからSOMの担当者に問い合わせをお願いします。少人数カリキュラムかつ設置から日が浅いので、大学側も比較的柔軟に質問対応や現役学生紹介を行っています。また、MMS-SRプログラムを主導しているMetrick教授は、このpodcastにてプログラムの狙いを説明しています。実際の授業についても、Global Financial CrisisのコースについてはCourseraで動画が公開されています。

システミックリスク管理修士 

イェール