MBA就職活動の概要

まず、日本からの留学生がMBAにて就職活動を行う上での基礎知識を整理します。

 

サマーインターンとフルタイム就職

MBA生の就職活動は大きく分けて夏休みに行うサマーインターン向け就職活動(以下「サマー」)と卒業後フルタイムのポジションを狙う就職活動(以下「フルタイム」)の2つに分かれます。サマーを実施する多くの企業がMBA採用を行っており(詳細は次項)、パフォーマンス次第でフルタイムのオファーを出すので、重要度は非常に高いです。ただし、サマーで幸いにもオファーをもらったとしても、フルタイムを全く行わない学生は少数派であり、結果的には私費生の大半がこの二つとも経験します

 

時期については業界により大きく異なりますが、大まかに言えばサマーは渡航前後から始まり、11月から1月ごろにピークを迎え、3月ごろにはオファーが出そろうイメージです。したがって、新生活を始めて間もなく就職活動にもそれなりの時間を割く必要があり非常に慌ただしくなるので、いかにSOMが提供する就職支援のためのリソースを使いこなすかがカギとなります。

 

フルタイムについては、夏休み明けから始まり、MBA採用企業であれば年末頃、一般採用であれば卒業前後まで活動を行う場合もあります。プロセスについてはサマーの就職活動とほとんど同じステップを踏む事となりますが、インターンよりも企業数が多くなる上に、雇用契約の条件交渉までおこなうので、高い緊張感をもって行うこととなります。

 

MBA採用と一般採用

企業へのアプローチ方法は、①MBA生を中途採用と区別して採用する企業(MBA採用)と、②中途採用と同様の採用プロセスを踏む企業(一般採用)により異なります。例年比較的多くのMBA生を採用し、卒業生の就職先トップに上がるようなコンサルティング・投資銀行・大手テック企業等はMBA採用の形態が多く、それ以外の企業は一般採用という形が多いようです。大きな違いはインターンの可否(一般採用企業はインターンを募集していない場合が多い)、採用面接の受けやすさ(MBA採用企業はキャンパスで説明会や面接を行う場合が多い一方、一般採用企業は直接企業まで出向くorオンラインが主流)といったところです。

 

本稿では断りの無い限り、MBA採用を前提にお話をさせて頂きます。

 

日本就職・アメリカ就職・それ以外での就職

就職活動はロケーションによっても多少異なります。折角の機会を活かしてアメリカでの就職を目指すか、留学での学びを活かして自国で頑張るか、或いは第三国で働くかは、毎年留学生を悩ませる大きなテーマです。ここでは、リソースの使い方という切り口で簡単にご説明することにとどめさせていただきます。

 

まず、アメリカ就職は言わずもがな最もスタンダードで、CDOや上級生、Alumniなど本稿で述べるリソースはほとんどフル活用できます。加えてSOM・Yaleは留学生を非常に多く抱えており、ビザ情報などのリソースも非常に豊富で、リソース面での苦労はまずないと言って良いでしょう。

 

日本就職については、ほとんどのプロセスがアメリカ就職と同じですが、①ボストンキャリアフォーラムでの採用活動がある②MBA留学前に日本で一部、採用活動がある③面接等では日本語を使う事もある、と言ったところでしょうか。

 

第三国就職については、就職情報の入手のしやすさやビザ情報等、他に比べてより多く手を動かさなければいけない側面はあります。しかし、CDOにおいても海外就職の情報はある程度プールされていますし、International生の多いSOMであれば、就職したい国から来ている留学生を探すことも難しくないので、果敢にチャレンジするのであれば、充分なサポートを受けられるという印象です。実際、毎年数名の日本在住経験がない留学生が日本でインターン・就職しており、我々日本からの留学生も積極的に相談に乗ったり、情報提供したりしています。

 

 

 

採用プロセスの詳細

次に、MBA就職活動の具体的なプロセスについてご説明します。

 

 

1. 受験戦略の策定

 

まずは、受験戦略の策定です。MBAは非常に幅広いジョブオポチュニティーを与えてくれますが、残念ながらありとあらゆる可能性を追及するような就職活動を行っていると、いくら時間があっても足りません。従って、自分の今までのキャリアと今後の希望に照らし合わせて大まかな戦略を練る(≒選択肢を絞り込む)ことが、その後の就職活動をスムーズにする鍵となります。

 

2. レジュメ・カバーレター・応募書類準備

 

入学してあっという間に就職活動が始まるので、戦略策定と同時並行でレジュメと応募書類を準備することになります。通常、書類による一次審査をベースに次のステップ=面接に進めるかが決まりますので、かなり入念な準備を要するステップです。

 

レジュメは日本の履歴書と職務経歴書を組み合わせたような書類です。MBA受検の際にも提出書類として作成しますが、要求水準が全く異なり、レターサイズ(A4とほぼ同じ)1枚ではありますが、多くの企業が重視する書類なので、幾度となく添削・レビューしたり、受験企業によって記載内容を変えたりと、非常に手のかかる書類です。また、通常カバーレターという志望先企業の志望動機や自己アピールを織り交ぜた書類を提出することとなりますので、こちらも何度となく磨きをかけていきます。その他、企業によっては志望動機や自己アピールなどの追加書類が求められる事もあり、応募書類の準備は非常に労力がかかるケースもあります。

 

3.  ネットワーキング

 

書類準備に加えて、ネットワーキングも外せない活動の一つです。現在企業で働いている方々とコーヒーチャットやレセプションでお話しすることで、仕事に対する理解を深めることが出来ます。また企業によってはプレスクリーニングも兼ねているので、カジュアルなコーヒーチャットでも気を抜かずにしっかりと準備をしていくことが重要です。

 

4. 面接

 

書類審査が通ると、いよいよ面接です。面接のスタイルや回数については業界や企業によってさまざまなので一概に言えないのですが、逆に言うと受検企業に合わせた対策を行うことが非常に重要です。

 

特徴的な例としては、投資銀行業界では何度も面接を重ねて企業へのコミットメントをしっかり見極めます。またコンサルティング業界でケースインタビューを行ったりインヴェストメントマネジメント業界でストックピッチを行うなど、実務に近い形での能力を見極める面接もあります。

 

5. インターン先決定

 

さて、無事オファーを獲得すると、そこからどの企業で実際にインターンを決めることとなります。インターン先は、2年生のフルタイム時にレジュメに記載し、また面接でも聞かれることが多いので、フルタイム時のシグナリングも踏まえて決定することが重要です。また、インターンとはいえ条件面での交渉があったりもして、意外と悩ましいプロセスです。

 

6. インターン・オファー獲得へ

 

そして、「インターン先からフルタイムオファーを勝ちとる」事が次の大きな目標なります。長くて2カ月強という限られたインターン期間で最大限のパフォーマンスを発揮すべく、選択授業や自習を通じてしっかりと事前準備を行う事が、MBA就職活動のポイントの一つです。

 

7. フルタイム就職活動

 

 

基本的には夏休み明けから上述1-4のプロセスを繰り返すイメージです。