MMS (Master of Management Studies) in Asset Management

※2023年11月執筆時点

 2019年に新しく設置された1年制の修士コースで、Early Career(学部から直接 or 実務経験3年以内)を想定した金融工学・アセットマネジメント特化型プログラムです。データサイエンスを駆使した投資意思決定を学ぶためのコースです。STEM certifiedのため、卒業後はOPTにて米国内で3年間就労可能です。

 

 厳しいプログラムによって最高レベルのasset managerを育て、business and societyにインパクトを与える人材を排出することを目指しています。MBAに比べて少人数のプログラムで、Class of 2024 (2023年入学)は約60名です。2年でMBAとMMS-AMを取得するDual Degreeも可能で、今年(Class of 2024)はMMS-AMのうち5%がMBAとのDual-Degreeとのこと。MBA受験時にDual Degreeとして応募する、あるいは入学してからDual Degreeに応募することが可能です。必要書類の殆どはMBAのマテリアルをそのまま流用可能ですが、Accademiaからの推薦状が必要なため、場合によっては追加の手配が必要になります。

 

 Yale Universityは約$40 billionのAUMを持つ大学基金(Yale Endowment)を持っており、投資・経済分野の研究に非常に力を入れています。また、2013年にはChicago UniversityのFama教授とともにRobert J.Shiller教授がノーベル経済学賞を受けていることからも、金融・資産運用業界において高く評価されていることがわかります。MBA界隈では金融分野はあまり有名ではないように思いますが、実際にはSOMの中でもこういった内容に力を入れており、実績も出始めています。また、Connecticutには世界的に有名なHedge Fundが多く、金融の中心であるNew Yorkからもほど近いため、Yale SOMとしてこういった業界の実務家に授業やリクルーティング活動をお願いし、学生に就業機会を提供しています。

 

 Asset Managementに特化したプログラムのため、MBAよりも業界により特化した深い知識を得ることが可能です。プログラム創始者はTobias J. Moskowitz教授で、AQR Capital ManagementのPrincipalでもあります。また、他教授陣もAQRに籍を置いている人が多く、実務と理論を統合した、レベルの高い講義を受けることが可能です。例えばQuantitative Investmentでは、論文をもとに大量の価格データ・財務データを活用し、投資戦略の有効性を検証しておりますが、やっている内容は、世界最先端のQuants Fundの一社であるAQR Capital Managementが実際に実施している投資戦略です。実際に実施されている投資戦略を理解することができるため実践的ですし、自分の手で実際にデータを処理し、統計分析を行うことから、データ分析など他の場面にもすぐに応用できます。Machine Learningの授業などはデータサイエンスの分野で使われている手法を金融分野に持ち込んでいるものを学ぶ場ですから、データサイエンティストとして働きたい場合でも十分な技術を身につけることができます。

 

 講師陣の中で特に有名な方々は以下の通りで、著名ヘッジファンドの実務家や、クオンツ業界の超有名人が多いです。(私にとっては、Moskowitz教授、Andrea Frazzini氏、Bryan Kelly教授などは教科書に出てくる雲の上の存在であり、自分が彼らから直接授業を受けていることが未だに信じられません。ちなみにBryan Kelly教授はCoreでも授業を受け持っており、F1レーサーが教習所の講師をしているほどにすごいことです)

Tobias J. Moskowitz

Bryan T. Kelly

Andrea Frazzini

Osman Nalbantoglu

 

 これまでの卒業生は例えば以下のような会社に就職しています(一例)。

  • JPMorgan Chase & Co.
  • Prudential Financial AllianceBernstein
  • Barclays PLC
  • Aflac Global Investments
  • AQR Capital Management
  • Ontario Teachers' Pension Plan
  • UBS AG
  • Brookfield Asset Management Inc.
  • China International Capital Corporation Limited
  • Bank of China
  • Bridgewater Associates

 現在のCore科目は以下の通り合計18 unitsです。これに加えてElectivesの18 unitsが卒業要件です。

  • Financial Econometrics and Machine Learning (Fall通期 4 units)
  • Quantitative Investing (Fall通期 4 units)
  • Asset Pricing Theory (Fall-1 2 units)
  • Colloquium (1年間 4 units)
  • Business Ethics (Fall-2 2 units)Behavioral Finance (Spring 2 2 units)
  • Practical Experience Requirements (Internship経験。MBA生は夏のInternshipで代替可能)

 ほとんどの授業では、Python / Rといったプログラミング言語や、微分積分、線形代数、確率・統計の知識が必要とされていますが、日本基準では理系学部か経済学部卒業生であれば十分ついていけるレベルです。また、夏休みにPython、統計学に関する事前学習のサポートを提供しています。

公式サイトはhttps://som.yale.edu/programs/mms-asset-managementです。詳細は公式サイトをご覧ください。

 

その他情報

MMS-AMの講義とMBAの講義・履修関係について

ほとんどの授業はMBA学生でも履修可能ですが、Quantitativeな授業が多いためMBA生にはあまり人気がありません。また、MMS-AMの学生は特定のElectivesでオークションポイントを使わずに優先的に授業を取ることができます。Portfolio Management in Practice(Bridgewater Associatesの実務家によるポートフォリオ管理方法のレクチャー)などの超人気授業はMMS-AMの学生だけで満席になっているため、MBAの学生は実質的に履修不可です 著名実務家を呼んで話を聞くことができる授業はMBAは履修不可です。

 

MMSに所属する学生の出身国
class of 2023では、Canada / China / Hong Kong S.A.R. / India / Italy / Mexico / Pakistan / South Korea / Taiwan / United Kingdom / United Statesの国籍保有者がいるようです。これらの国出身者、及び米国出身でこれらの国のパスポートを持つ人は合わせて全体の93%を占めています。

 

就職活動のサポート
Asset Management業界に特化したCareer Supportがあります。MBAとは別に、Early career、Asset Management業界向けの情報収集やInterview準備を手伝ってくれます、

 

プログラムに関する追加の問い合わせ
SOM公式WebサイトからSOMの担当者に問い合わせをお願いします。特にカリキュラムの内容については毎年変わっていくと思われるので、公式サイトや大学側への問い合わせを通じて最新状況を把握ください。また、本プログラムには日本人の卒業生もおりますので、問い合わせフォームから本件について話を聞きたい旨ご連絡いただければ対応いたします。