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MBA留学(社費)に対するアプローチについて

こんにちは、Class of 2020の春山です。コロナウイルスの影響により卒業式は残念ながら来年以降に延期の予定となりましたが、先日無事に卒業しました。在学中は一度もブログの更新に貢献しなかった反省を踏まえ、僭越ながら少しだけ書こうと思います。テーマは会社派遣の立場としてアメリカでMBAを学ぶということに対する私なりのアプローチについてです。社費でMBA留学を検討中の方やこれから進学を予定している方にとって少しでもお役に立てれば幸いです。

 

まず言わずもがなですが、MBAは経営学の修士号であり、経営者あるいは経営に携わる可能性のある人を対象とした学位です。私の場合は辞令の一環として会社から任命される形でMBA留学に派遣されていたということもあり、将来的に組織のリーダーとして事業をけん引していくことを見据えながらMBA留学に臨みました。一方、平均年齢が30歳前後でビジネススクールに入学するアメリカ人にとってMBAとは学位というよりもキャリアアップとしての資格のような位置づけとなっています。また雇用の流動性が高いアメリカにおいて、彼らは自身の人脈を通じて新たな就職先を見つけていきます。したがって、MBAという資格のみならず在学中に培った人脈が将来的に彼らにとっての財産であり、それこそがMBAという投資に対して彼らが期待するリターンとしての価値ということになります。アメリカのMBA留学においてはこのようなそもそもの違いが存在しているということ、また私のような会社派遣の留学生は少数派であるということを予め認識した上で留学に臨むことが重要であると考えます。

 

私は幸いにもこれまで非常に尊敬できる上司に恵まれたため、リーダーとしての自分の将来をその人に重ねることで目標を意識していました。その人は生まれ持った頭の回転の速さやカリスマ性があるものの、一方で優れたリーダーとしてその人が持つ特徴を具体的に考えたところ、私なりに出した答えが「的確な着眼点」、「調整力」、「自身の専門領域に留まらない幅広い知識」の3点でした。これらの点があることにより、自身の考えによって進行中の事業やプロジェクトの方向性を決断し組織を導くことができるだけでなく、周囲の人間がその人に対して自然と解決策を求めて相談していくという環境が生まれます。そのような正しい決断を下しリードできる人、或いはあらゆる事案に対して周囲が頼るリライアブルな人が優れたリーダーとしての資質があると私は考えます。したがって、会社派遣としてMBA留学するにあたり私はこの3つに重きを置きながら、知識の取得および経験の蓄積に主眼を当てることを目的としてMBA留学に臨みました。

 

まず1点目を鍛えるにあたりビジネススクールが提供する最も有効な方法がケーススタディです。既にご存じの方も多いと思いますが、ケーススタディとは約1015ページにまとまった事例(Walmartの誕生やSpotifyIPOなど)を事前に読み込み、それについて授業の場を通じて討議していくという形式です。したがって、各々のケースにおいてポイントはどこなのか、着眼点としてどこを捉えるべきか、という点については大いに鍛えることができます。また経験豊富な教授がリードしながら他の学生と議論することを通じて自分が捉えていたポイントが正しく的を得ていたかという確認をできる他、捉え切れていなかった一つ先の考察があった場合などにおいて新たな学びがあります。このような点により私はケーススタディについては積極的に取り組むようにしていました。

 

 

また2点目についてはグループワークです。Yale SOMでは大半の授業でグループワークがあるので、色々なメンバーとグループを組んで課題に取り組みます。私は留学前の部署では最年少であったこともあり、常に自分なりの意見や個人としての貢献度を意識して業務に取り組んで来ました。一方、MBA在学中のグループワークでは自身の考えのみならず、グループとしての総意形成をより優先してグループワークに取り組むようにしていました。各メンバーの個性が控えめで協調性を重んじる傾向がある場合はこの点は比較的円滑に進むものの、そうではない場合においては困難を極めます。このようにグループとしての特性を早期に見極め、柔軟に対応していくことがグループ内において調整力を発揮する上で重要であると考えます。留学中はそれぞれ授業毎に異なる多種多様なメンバーと共に様々な共同作業をすることを通じて、グループ内における調整力を鍛えるという点で非常に多くの機会があります。

 

最後に3点目については、主に2年目における選択科目の選択に大きく影響を与えることとなりました。選択科目を通じて学ぶ期間は9か月しかないため、優先順位をつけながら効率的に学習していく必要があります。私の場合は、長期的な視点の下、派遣元の会社における社内のリーダーとして自身の具体的な絵姿をイメージしながらその時に活きるであろう知識の取得を優先的に行うようにしました。この結果、Private Equity / Venture CapitalImpact Investingなどのビジネススクールならではの個人的に興味を抱く面白そうな授業は諦め、管理会計やコーポレートファイナンス、マクロ経済といった将来のマネジメントを見据えた時に重要であると思われる授業を優先的に履修するようにしていました。自分が経営の立場に携わる時期はまだまだ先ですが、少なくとも一通り授業を終えた現時点ではこの判断は間違っていなかったと感じています。

 

長々と書いてしまいましたが、私なりのMBA留学に対するアプローチを紹介でした。MBA留学の目的は人それぞれだと思いますが、これから会社派遣として進学予定の方や社費留学を検討中の方にとって少しでも参考になれば幸いです。